天高く馬肥ゆる秋は、散策にぴったりな季節。「てくてく京都・四条烏丸店」から東に向かって約20分ほどのところにある祇園界隈は、着物姿で散策するにはぴったりな風情ある街並みが続きます。たくさん歩いた後は、ゆるりとしたひとときを過ごせるカフェを訪れてみてはいかがでしょうか。
こちらが今回ご紹介する花見小路通りから一筋西に入ったところにある「万治カフェ」。もともとこの地で文久元年(1861年)から「万治」という屋号で炭屋を営み、「万じさん」の愛称で親しまれてきました。そんな町家で生まれ育ったオーナーが、洋菓子店に嫁いで得た経験をもとに、カフェとして生まれ変わらせたのです。
玄関では履物を脱いで上がります。奥には坪庭もあり、築約160年の京町家の趣きを生かした心落ち着く空間が広がります。着物で訪れるのにもぴったりです。
昔懐かしい土壁と木がベースの温かみのある店内には、シンプルでモダンな家具が配されています。どの席からの眺めも素敵で、時間を忘れてゆったりとしたひとときを過ごせました。
いただいたのは「季節のスイーツとコーヒーのセット」(1,296円)。注文を受けてから和栗のペーストを絞り出す「できたてモンブラン」は、メレンゲ、生クリーム、栗のペーストの三層仕立て。風味豊かで濃厚なクリームと、さくっとしたメレンゲの相性がとってもいいんです。
この日の小菓子には、千鳥をかたどったクッキーにラムネとレモン味の金平糖が添えられていました。千鳥には目もあって、とってもキュート。口の中でふわっとバターの風味が広がります。器は祇園や万治の家にゆかりのあるもので供されるそう。
カフェ手前には物販スペースもあり、京都らしさを感じる手作りの焼き菓子などが並びます。
中でも人気なのが「缶クッキー万じセレクション」(2,808円)。ぼんぼりや千鳥など見た目もかわいい6種類のクッキーがぎっしりと詰まっています。大切な方への手土産にしても喜ばれそうですね。
一角には、石畳になる前の祇園の街並みを映し出した写真や、「万じさん」と親しまれたオーナーのお父様の幼き頃の写真が飾られていました。写真を眺めていると、祇園という町に息づく人々の思いや暮らしを垣間見たような気持ちになるから不思議です。
上質な空間で味わうおいしいスイーツや飲み物は、日々の喧騒から離れ、非日常の世界へと誘ってくれる気がします。調度品にもオーナーのおもてなしの心が随所に感じられ、何度も足を伸ばしたくなるような居心地の良いカフェでした。ぜひ旅の思い出に訪れてみてはいかがでしょうか。
万治カフェ
京都市東山区祇園町南側570-118
075-551-1111
11時~19時 水曜休み